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カーリースの利用者でもご存知ない方も多いのですがカーリースには2種類の契約方法があります。
- オープンエンド方式
- クローズドエンド方式
今回はこの2種類の契約方法についてそれぞれの違いやメリット・デメリットについても解説します。
さらにカーリースのオープンエンドとクローズドエンドについて書かれた記事の中には説明不足で誤解を受けそうな記事がいくつも見つかりましたので、後悔することが無いように説明させていただきます。
オープンエンドとクローズドエンドの違いは「残価」の違い?
「オープンエンド」と「クローズドエンド」と言えば、投資に興味がある方ならお馴染みの投資信託などで使われる用語です。
しかし今回はカーリースでのお話です。
カーリースのオープンエンドとクローズドエンドの違いを理解するには最初に「残価」という聞き慣れない言葉の意味を知る必要があります。
残価とは残存価格の略でカーリースの契約期間満了する時の価格を予想したものです。
言い換えると「将来の査定額」を予測した金額です。
たとえば、新車価格200万円のクルマを5年契約で貸し出したら、過去のデータなどを参考にして5年後は50万円の価値があるだろうと予測して決定します。
そして、カーリースの料金を決める時には、この残価があらかじめ値引きされた金額だけを支払えば良いため、カーリースは購入金額の全てをローン購入よりも「総支払額が安くなる」メリットがあるのです。
上記の例では新車価格200万円から残価の50万円が値引きされた150万円を分割して支払うというのがカーリースの支払いのざっくりとしたイメージです。
それでは、この新車と同額200万円の別の車種が「超人気車種」であればどうなるでしょうか?
貸し出すクルマが超人気車種でリース契約が終わるころも人気を維持していることが予想出来れば残価はさらに高く設定されることになります。
たとえば残価設定が80万円とされれば新車価格200万円から残価の80万円が値引きされた120万円を分割して支払うことになるため毎月の支払額や支払い総額も安くなるのです。
このように「残価」があるためにカーリースは新車に安く乗ることが出来て、残価が高く設定される人気車種であればさらにお安く乗れるメリットがあります。
しかし、超人気車の人気が何かしらの原因で急降下してしまい、リース終了後の実際の査定額が50万円になってしまったらどうなるのでしょうか?
差額の30万円は利用者が支払わなくてはならないのでしょうか?それともカーリース会社が負担してくれるのでしょうか?
じつは「オープンエンド方式」と「クローズドエンド方式」の大きな違いはこのような点にあるのです。
オープンエンド方式とクローズドエンド方式の違い
オープンエンド | クローズドエンド | |
残価設定金額 | 分かる・オープン | 分からない(クローズ) |
残価の清算責任 | 利用者 | カーリース会社 |
残価の設定 | 利用者が出来る | 利用者は出来ない |
終了後の車買取 | 可能 | 不可 |
終了時の車は? |
|
|
「オープンエンド方式」と「クローズドエンド方式」の違いを表にするとこのようになります。
分かりやすく説明しましょう。
オープンエンド方式とは
オープンエンド方式には以下のような特徴があります。
- 残価を知ることが出来て価格の調整も可能
- 残価の清算がある場合は利用者が支払う
- 終了後にクルマの買取が出来る
このような特徴があることでメリットと同時にデメリットもありますので確認しておきましょう。
オープンエンド方式によるメリットとデメリット
オープンエンド方式のカーリースではカーリースの利用者に残価が公開されている上にその残価設定額を調整することが出来ます。
そのため残価を高めに設定してしまえば毎月の支払額を安く抑えることが出来ます。
つまり、自分の毎月の支払いの予算に合わせて支払額を抑えることが出来るのがオープンエンド方式のメリットであるといえます。
また、リース期間が終了すると「残価」分を支払えばリース車両を買い取ることも可能です。
クルマを相棒のように乗り、長く乗ると愛着が湧いてしまった経験があるような方にはオープンエンド方式のカーリースがおすすめと言えそうです。
オープンエンド方式のデメリットはリース契約終了後の査定で残価よりも査定額を下回ってしまった場合は差額を清算する責任が利用者側にあることです。
利用者が残価設定を行えるのがオープンエンド方式のカーリースのメリットではあるのですが、毎月の支払額を安く抑えるために残価を高額に設定してしまった場合は終了後に大きな差額が発生して高額な清算となる恐れがあります。
繰り返しになりますが、清算の責任は利用者にあります。
クローズドエンド方式とは
クローズドエンド方式には以下のような特徴があります。
- 残価は知らされず、価格の調整も出来ない
- 残価清算の責任はカーリース会社
- 終了後にクルマの買取は出来ない
このような特徴があることでメリットと同時にデメリットもありますので確認しておきましょう。
クローズド方式によるメリットとデメリット
クローズドエンド方式のカーリースでは利用者には残価は公開されずに、残価を調整することも出来ません。
しかし、残価と査定額に差額があっても清算の責任はカーリース会社側にあるため終了後の支払いの心配・リスクがないのがクローズドエンド方式のカーリースのメリットです。
残価は知らされませんが、清算の責任がないため残価のことを気にする必要が無いのが精神的にもメリットと言えます。
クローズドエンド方式のカーリースでは、カーリース会社側は終了時の査定額が残価を下回った時に負担を抑えるために残価を抑えて設定しがちになります。
残価を安く設定すると自動的にカーリースの総支払額は高くなっていきます。
オープンエンド方式のカーリースに比べるとリース料が高くなることがクローズドエンド方式のカーリースのデメリットです。
また、クルマに愛着が湧いてもクローズドエンド方式のカーリースでは買取が出来ないのは選択肢が少ないという意味で残念と言えるでしょう。
【注意】クローズドエンド方式の誤解に注意!
オープンエンド | クローズドエンド | |
残価清算の責任 | あり | なし |
原状回復のための清算 | あり | あり |
クローズドエンド方式のカーリースでは残価清算の責任はカーリース会社にあります。
つまり最初に残価の設定をおこなった時よりもクルマの人気が下がってしまい、予測した残価を下回る査定額となった場合はクローズドエンド方式のカーリースでは差額の清算の責任はカーリース会社にあり、カーリース利用者は負担する必要はありません。
それとは別に、カーリースは原状回復の義務というルールがあり、返却する時には元の状態に戻して返却しなければなりません。
そのため返却された車の損耗状態やキズや凹み、車内に落ちにくい汚れなどが見つかった場合は清算が必要になってしまうこともあります。
この車の状態によって発生する「清算」は前者の「清算」とは別のものです。
しかし、クローズドエンド方式のカーリースでは確かにクルマの人気などが原因で低下した査定額と残価との差額の清算は利用者には必要ありませんが、原状回復のための清算費用も支払う必要が無い、カーリース会社に支払いの責任があると誤解している人が少なくありません。
説明不足による誤解ですが、クローズドエンド方式のカーリースなので、ただ返却しておしまいと思っていたら高額な費用を請求されてしまったなどということが無いように注意が必要です。
今回の記事のタイトルは「カーリースのオープンエンドとクローズドエンド清算が不要はどっち?」としたのですが、その答えは「どっち」ではなく「両方」です。
どちらも終了時には清算の可能性があります。
清算の可能性ゼロのクルマがもらえるカーリース?
上記のような「清算」のリスクは全てクルマを返却する時に発生します。
ところが近頃のカーリースにはクルマを返却せずに、そのままもらえるプランを用意しているカーリースも登場しています。
返却しなければ上記のような「清算」とは無縁になります。
で、結局どっちを選べばいいの?
上記の通り、オープンエンド方式とクローズドエンド方式ではそれぞれメリットとデメリットがあるためどちらを選んでよいのか判断がむずかしいところです。
そこで、それぞれのカーリースのオススメとなる特徴・ポイントをピックアップしてみました。
- 毎月の支払額を安く抑えたい
- 清算のリスクよりも月額の安さ重視
- 買取してずっと乗りたい
- 月額が多少高くても清算のリスクがない方がいい
- 終了後の面倒な手続きや支払いをシンプルにしたい
- 定期的にクルマを乗り換えたい
あなたはどちらが向いているでしょうか?
オープンエンドとクローズドエンド 現実は少し違う?
以上のようにオープンエンド方式のカーリースとクローズドエンド方式のカーリースの違いを説明してきましたが、じつは現実のカーリースは全て上記の通りではありません。
たとえば2018年にサービスが開始されて現在人気カーリースとなっている「おトクにマイカー 定額カルモくん」はクローズドエンド方式のカーリースなのでリース期間満了後にクルマを買い取ることは出来ませんが、有料オプション(500円/月)の「乗り放題オプション」を追加すれば、終了後はそのままクルマがもらえて自分の物になるため注目を集めています。
また一般的にはオープンエンド方式のカーリースよりも料金が高くなりがち、というのがこれまでのクローズドエンド方式のカーリースの常識でしたが、現在ではインターネットで料金が比較されるため、クローズドエンド方式のカーリース会社もオープンエンド方式のカーリースと遜色ない料金設定となり競争力を強化しています。
そのため、現在のカーリース会社選びは料金だけではなく、リース料金(基本料金)に含まれる費用も重視され、総合的にお得なプランが用意されているカーリースが人気を集めています。
まとめ
今回はカーリースの料金と密接な関係がある「残価」とその残価に対する2種類の契約方法のオープンエンド方式のカーリースとクローズドエンド方式の違いについて説明させていただきました。
キーワードとなった「残価」や「オープンエンド方式」と「クローズドエンド方式」は通常カーリースの公式サイトで解説が書かれていることはほぼありませんが、理解しておけばカーリースの申し込み時にも安心です。
特に公式サイトにはデメリットが記載されることはほぼありませんので、今回の内容もぜひ覚えておいてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。