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軽自動車にはOEMが多いことをご存知の方も多いかもしれません。
OEMとはオリジナル・エクイップメント・マニュファクチャリング(Original Equipment Manufacturing)の頭文字からの略語で何やら難しそうなのですが、簡単にいえば「他の会社で開発・製造された製品を自分の会社の製品として売る」ということで、具体的な例としてはスズキで製造した車をマツダ車として販売するようなことを言います。
このようなOEMで販売されているのは電化製品などでも多くなっているのですが、自動車では軽自動車に多く見られるのが特徴です。※普通車にもあります。
このOEM供給を受けて販売される車の販売価格は供給元のクルマの価格とほぼ同価格となることが多いのですが、カーリースの料金では不思議な現象が起こるのです。
その現象とは同じクルマなのにリース料金に違いが発生するということなのです。
スペーシアとフレアワゴンのカーリース料金を比較
マツダ「フレアワゴン」はスズキのスーパーハイトワゴン「スペーシア」をスズキからOEM供給されてマツダ車として販売されている軽自動車です。
スズキのスペーシアには3種類のバリエーションが販売されていますが、フレアワゴンも3種類のOEM供給を受けてグレードを含め、ほぼ同じラインナップで販売されています。
タイプ | スズキ | マツダ |
標準モデル | スペーシア | フレアワゴン |
カスタマイズモデル | スペーシア カスタム | フレアワゴン カスタムスタイル |
SUVモデル | スペーシア ギア | フレアワゴンタフスタイル |
標準モデルの「スペーシア(フレアワゴン)」と内外装がカスタマイズされた「スペーシアカスタム(フレアワゴンカスタムスタイル)」、SUV風の外装にアレンジされた「スペーシア ギア(フレアワゴンタフスタイル)」の3種類です。
両車の違いはフロントグリルやハンドル中央のメーカーエンブレムやリアの車名などで他は全て一緒で全てスズキの工場で生産されています。
そして両車は基本的に同じ価格で販売されています。※スペーシアとフレアワゴンは同額でスペーシアギアやカスタムではフレアワゴンタフスタイルとカスタムスタイルでグレードによる差額がありますが、それは有料ボディカラーや全方位モニター用カメラパッケージなどがマツダフレアワゴンでは標準装備でスズキはオプションとなる違いによるものです。
しかし、同じ新車販売価格ならカーリースの料金も同じになりそうなのですが、実際にはどうなのでしょうか?
スペーシアギアとフレアワゴンタフスタイルの料金を比較
スペーシアギア
そこでここではSUVスタイルで人気のスペーシアギアとフレアワゴンタフスタイルで比較してみましょう。
両車グレード構成はターボ付きと無しの2種類というのは同じですがグレード名が違います。
スズキ スペーシアギアはターボ付きが「HYBRID XZターボ」で無しが「HIBRID XZ」、
マツダ フレアワゴンタフスタイルはターボ付きが「HYBRID XT」で無しが「HIBRID XS」の各種類です。
フレアワゴンタフスタイル
今回はベーシックなスペーシアギアHYBRID XZとフレアワゴンタフスタイル HIBRID XSを比較してみましょう。
車体価格は
- スペーシアギアHYBRID XZ:¥1,644,500
- フレアワゴンタフスタイル HIBRID XS:1,666,500
このように22,000円スペーシアの方が安いのですが、これはスペーシアギアでは22,000円の追加料金が必要な塗装色がフレアワゴンタフスタイルでは標準であるためです。
定額カルモくんで料金を比較
今回の比較に参考としてご紹介するのは定額カルモくんというカーリース会社です。
定額カルモくんは契約期間が1年から11年まで幅広く利用できるカーリースです。
■カーリース料金比較表(月額)
期間 | スペーシアギア | フレアワゴンタフスタイル | 差額総額 |
1年 | 91,520円 | 112,640円 | 253,440円 |
2年 | 55,330円 | 65,780円 | 250,800円 |
3年 | 43,340円 | 49,390円 | 217,800円 |
4年 | 36,960円 | 41,580円 | 221,760円 |
5年 | 32,450円 | 36,080円 | 217,800円 |
6年 | 30,140円 | 32,120円 | 142,560円 |
7年 | 27,830円 | 28,380円 | 46,200円 |
8年 | 25,410円 | 25,960円 | 52,800円 |
9年 | 23,430円 | 23,980円 | 59,400円 |
10年 | 22,110円 | 22,660円 | 66,000円 |
11年 | 20,790円 | 21,230円 | 58,080円 |
※メンテナンスパック無しで計算
定額カルモくんではメンテナンス無しからフルメンテナンス+メーカー保証延長まで4つのメンテナンスパックを選択して契約できるのですが、ここではメンテナンス無しの料金を掲載しています。
この表を見てお分かりの通り、同じ車両価格のクルマであるにもかかわらず全般的にフレアワゴンタフスタイルの方が月々のリース料金が高く、5年以内の契約では支払い総額で20万円以上差があることが分かります。この理由については後程説明させています。
コスモMyカーリースで料金を比較
念のために他社でも比較してみましょう。
今度はコスモ石油のカーリース「コスモMyカーリース」です。コスモMyカーリースは契約期間が3年、5年、7年の3種類です。
比較する車種やグレードは定額カルモくんと同様のものとしています。
期間 | スペーシアギア | フレアワゴンタフスタイル | 差額総額 |
3年 | 41,690円 | 44,880円 | 114,840円 |
5年 | 30,140円 | 32,120円 | 118,800円 |
7年 | 25,410円 | 26,730円 | 110,880円 |
※メンテナンスパック無しで計算
ご覧のように定額カルモくんの結果と同様に月々のリース料はフレアワゴンタフスタイルの方が高額で総額では3つ全ての期間で11万円を超える差額となってしまうことが分かりました。
繰り返しになりますが、比較している2車はエンブレムや車名以外は同じ工場で生産された全く同じクルマで、新車の車両価格も同額です。
それにもかかわらず、このような無視することが出来ないような支払い総額の差額が発生しているのです。
ところで、上記の定額カルモくんと、このコスモMyカーリースで両車で取り扱いのある3年、5年、7年の料金を見比べてみるとコスモMyカーリースの方がお安いことに気が付くはずです。
しかし、それには理由があり、コスモMyカーリースではメンテナンス無しの契約「ホワイトパック」では一般的なカーリースでは含まれる自賠責保険料や重量税が含まれておらず、それは車検の時に必ず支払いが必要な費用ですのでコスモMyカーリースで車検を通す必要がある契約期間の5年、7年契約で「ホワイトパック」の場合は別途支払いが必要になります。※メンテナンス有りの「シルバーパック」と「ゴールドパック」には自賠責保険料や重量税が含まれています。
定額カルモくんではメンテナンス無しの「メンテプランなし」でも自賠責保険料や重量税が含まれています。
このようにカーリースでは月額料金の安さだけではなく、料金に何が含まれるのかをしっかり確認して、メンテナンスや車検費用なども含めた総額で比較するようにすれば安心です。
同じクルマなのになぜ料金が違うの?
まったく同じクルマなのにカーリースではこのような差額が出ることは珍しくありません。
そこで、知りたいのが料金に違いが発生する理由なのですが、それはカーリースの仕組みをざっくり知ることで分かることなのです。
簡単に説明しましょう。
カーリースではリース料金を決める時に、最初にリース期間が満了となってクルマが返却されるときの査定額を予想して決めます。
その予想した査定額のことを「残価」(ざんか)と呼んでいます。
たとえば5年契約が終わる時に「この車は50万円になるだろう」と過去のデーターを参考にして残価を決定するのです。
そして、いざ料金を決める時にはあらかじめこの「残価」を値引きした残りの金額をベースに月々の支払額が決められていきます。
つまり、カーリースでは新車の車両価格の全部ではなく、「残価」分が値引きされた金額だけを分割して支払えば良いので、購入額の全てを支払うローンでの購入よりも支払い総額が安くなるメリットがあります。
このようにカーリースは残価があるために、手ごろな料金で新車に乗ることが出来るのです。
この残価はクルマの代金から値引きされる金額ですので、残価の金額が高額になればなるほどリース料金は安くなっていきます。逆に残価が安くなれば、値引きされる金額も少なくなるためにリース料金は高くなってしまいます。
その残価とは予想した「査定額」ですので、リースで貸し出す車両がリース期間満了後でも人気があり、高額で取引されることが予想出来れば「残価」は高く設定されます。それとは反対にクルマの人気や知名度が低く、売却処分に困りそうな車種である場合は残価も当然安く設定されます。
このようなことからテレビCMや新聞広告・チラシなどで積極的に宣伝を行い、知名度も抜群のスペーシアギアは人気も高いために査定額も高く設定され、マツダフレアワゴンタフスタイルは現在軽自動車を生産していないマツダが自社のラインナップに無い軽自動車を補完する意味でOEM供給を受けて販売しているので宣伝活動はほぼ行われずに知名度も低いので、当然査定額も低くなります。
このようにカーリースの料金に直接関係のある「残価」はクルマの人気・知名度により金額が変動しますので、今回の比較のように人気と知名度の高いスペーシアギアと反対のフレアワゴンタフスタイルではリース料金に大きな差額が生まれてしまうのです。
OEM車のメリットとデメリット
OEM車=不人気ということは絶対ではなく、ごく稀にOEM車の方が人気がる場合もあります。しかし一般的にOEM車の方が人気や知名度が低いためにカーリースではリース料金が高くなってしまうのがデメリットです。
反対に中古車で購入するような場合はOEM車の方が安い価格設定となりベース車両よりもお安く購入できる可能性が高いのがメリットとも言えるでしょう。
まとめ
今回の比較ではOEM車フレアワゴンタフスタイルのカーリース料金はベースとなるスペーシアギアよりも高くなることが分かりました。それでも各カーリース会社でもマツダのフレアワゴンタフスタイルを選べるようになっている理由はマツダの関係者などから申しこみがあるからかもしれません。
しかし、特に関係のない方はベースとなるスペーシアギアを選ぶようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。